高橋健三 「たそがれの記」(109)
2021.11.1〜

大晦日まで快晴続く　明日はもう新年、2022年
　脳梗塞も悪化せずに生き延びた。褒めるほどの快挙ではないが、ほっと息を付ける。しかし、順序とは言え、恒ちゃんと松ちゃんを失ってしまった。残念極まりない。楽しい人達だった。通りの照明が二つ消えてしまったようだ。僕の内部に映った光を大切にしよう。それには自分が強く生き続けることだ。
　僕は数えで89歳になる年だ。６月４日になれば、満89歳。それが第１の峠だ。あの人たちは91歳まで頑張った。僕にとって第２の峠は、とても遠い。彼らの年に追い付くのは容易ではない。歳だけではなく、何をどう生きたら良いのだ。和子と助け合うのは当然として、この世との関わりがどう変わって来るのかが、いや、関われるのかが最大のポイントだ。
　2021年よ、お世話になりました。2022年に引き継いで、もうしばらく宜しく。Ｎ兄、Ｙ兄、いろいろお世話になりました。来年も宜しく。お元気で！

今日も続く快晴　もう二つ寝るとお正月　けれど今年は喪中
　頭の重さと動きの鈍化が進行しているようには思うが、気分は特に悪くない。次の検診は２月になる。その時は、再度MRI? とかのご厄介になるらしい。あれを使用中は、自分が沢庵漬けにされているような気分になる。一番苦手な医療器だ。「暴力的雑音シンフォニー」と言う感じで、気が狂いそうになる。自分が大根なら、さぞ味のない沢庵になるだろう。
　大晦日を明日に控え、喪中で略式の「大掃除」。その上、病人老人の家庭だから、目先だけの埃取りになってしまう。それでも綺麗にしたいと言う気持ちだけはある。カーテンの埃取り、テレビの裏側、細かな飾りを置いてある箇所など、目立つところで埃の取れていない場所など、あちこちが不様な状況を呈している。あまり張り切ると気分が悪くなったりする。適当な誤魔化し方が要求される。
　お昼頃から、今年のイオン最後の買い物に和子と出掛けた。特売日にもなって居る。売り場を歩き回り、重い荷物を背負って、家まで帰る。十分にリハビリの代わりになる。家の中の掃除は、今日明日で、健康上問題になる所だけを特定して、明日の３時ごろまでに一応のケリを付けるつもりだ。

今日も快晴　大雪の地方に申し訳ない　もう三つ寝るとお正月
　今朝は比較的頭がすっきりとしている。朝から、Ｙ兄のメールとご挨拶。彼は元気で羨ましい。まだまだ良いものが書けるだろう。
　テレビ放送で、カムカム　エヴリバディが取り上げられ、平川さんがやっていた頃の番組の事が取材されていた。彼が元NHKアナウンサーであったことや、アメリカで演劇などに関りのある仕事をしていたことを知った。大流行となった頃、綺麗なテキストや視聴者を広めるためにバッチまで作っていたことを思いだした。1951年２月に平川氏の英語講座は終わったが、その頃まで愛聴者を続けていたことを思いだして、何とも懐かしかった。平川氏の特有な親しみ易い個性が、この番組を支えていたのだと思う。それと彼の論理として、言葉は赤子が覚えて行くような過程で覚えるのが「早道」だを実践していたのが、人気の秘密だと思う。学者肌の先生方からは、「それでは特定の期間に身に着けるには、時間がかかり過ぎてしまう」という反論が集中していたように記憶している。どうして両方を合流させた教育法が追及されなかったのだろう。
　年末で、入れ代わり立ち代わり芸人が登場するが、もう時代が代わって来ているのを痛感する。名前も忘れてしまったり、全く知らない人もいる。関西だけでなく、関東の芸人まで、名前と顔が一致しない。俺の時代は終わりだなと言うのが実感。
　渋沢栄一の最終回をもう一度見直したが、政治家としての彼の評価にはさほど変化は起きないが、時代の流れに逆らっても自分の意思を表現しようとする「意地」には、彼なりの抵抗の姿勢は感じられる。日本の歴史的流れの中での、明治の変革の過大評価は危険だ。

今日も快晴　ごみ捨て最終日　もう４日寝るとお正月、でもうちは喪中
　何とか、ふら付きも頭の重さも一応落ち着いている。黒井千次さんの指摘して居られた「歳」の事だが、確かに89歳と90歳とを並べると、複雑な人生の重みとしては、90になって増えているのに89の方が重い感じがする。視覚的な印象のせいだろう。99と100なら、桁が威圧して圧倒的に100に重みが出るが、89と90の比較では、桁のアップではなく、数の差では、大きな差は感じられない。生死の境ともなると、数差では、チョット表現不能だろう。１の差でも決定的だ。なんせこの世からいなくなるか、未だ喋りかけて来るかの違いだ。黒井さんは、きっと長寿の運をお持ちなのだろう。文章の展開も伸びやかだ。傍に居る人まで幸せにしてくれそう。
　この感覚は、山登りにも共通だと思う。山頂は一番高いのは当然だ。そこまでがやたらに距離がある。歩いても歩いても近付いて来ない。しかし頂上にたどり着くと、直ぐ登れたような錯覚に陥る。桁が一つ高くなったのだ。しかし登山の意味は、山頂までの経過にある。だから、いくら辛くても、途中で止め様とはしない。頂上の美しさと幸福感は、汗水で描いた名画なのだ。
　お正月の間、スタンドの休みを見越して、灯油の予備を買い込んでおくつもりだ。体調が悪くなれば、買い込みに行くこともできないだろう。出掛けられれば、ゆっくりゆっくりと蟻が引くように運んでくる。これをリハビリの代わりにする。このカートも、やっと自分の体に合い始めた。無駄な力が省けるようになったらしい。これは体の方にもプラスになって居るに違いない。

快晴　空の色が、ひときわ鮮やか
　今までより頭がやや重苦しくなった感じはあるが、家の中をヒョコタンヒョコタンと歩き回っている。今朝から、換気を取りやめた。外の空気が温まって来た頃を見計らって、室内空気を入れ替えることにする。和子ともよく話して決めた。真昼間でも、今通り抜ける風は、相当に冷たい。しっかり着込んだ僕にも身にしみる。やはり、温かくなるまでは、朝の換気は中止する。Ｎ兄の進言に従うことにする。条件を見て、必要に応じて、風を通すことにしよう。
　和子が、来年の５月を目標にコーラスの練習をしている。今日衣装が出来上がって来たようだ。歌だけではなく、ステージ上の演出がらみにも、楽しみがあるのだろう。僕の命はそれまで持つのだろうか。舞台衣装を目にすることが出来るのだろうか。最近は本気でそんなことを考えている。
　テレビでオリンピックの議論がされている。体育的な意義はもちろん、精神的な意味付けは分かる。しかし、実施国、会場や宿舎を提供する都市、あるいは競技参加選手の面倒を見る地域では、それを歓迎しない人が多いのでないか。そんな印象を受ける。会場国になることを、あれほど嬉々として受け止めていた光景を思い出すと腑に落ちないところがある。サービスと献身だけを要求されるから、オリンピック組織委員会に対する批判的意見も多い。委員会の役員が尊大な官僚に見えているのではないか。もっと、開催国に実施プランを委ねても良いのではないだろうか。
　夕方が近づいて、Ｙ兄からの郵便を見つけて、予告のあった黒井千次の文章の写しを発見。少し前の僕の気持をそっくり表現した名文だった。しかし、昨日の朝、自分の終わりは近いと思わせる事件があり、今は、重い頭を抱えている。

北は大雪だと言うのに、こちらは今日も快晴
　昨夜は何事もなく床に就いたが、今朝の寒さの中で、換気を終えて、床に戻って来た時に、激しい体のフラツキを感じ、体を横にし、血圧を計ったら、僕には高血圧と言って良い、上147が示されていた。吐き気も伴っていたので、しばらく安静にしていたら、落ち着いてきた。危なかった。来たかと思ったが、大丈夫だった。いずれは来ることだが、予測していたより余りに早い。来年の誕生日位迄は、生きていたいと思っていた。欲を言えば、満90歳には届きたい気持ちだ。いろんな予測のイメージが、微塵に砕けて火花を散らした。こんなことがあって、和子を怯えさせてしまった。申し訳ない。もう起き出して、パソコンに向かっている。嫌な予感の記憶が蘇えった感じだ。警告だけで、執行猶予にしてくれ、と懇願したい。心でエンマ大王に慈悲を乞っていた。
　現在正午すぎ。その後、特に体に異常なし。茶の間で少し横になった。高校生マラソンが京都で行われていたので、それを観ながら、若さって本当にすごいな、と実感していた。まだ頭の中が霞んでいる所がある。室内を歩いて居てのよろめきは、軽くなったが、未だ不安感は残っている。注意しよう。
　松田聖子は、可哀相に暮の「紅白」も辞退するようだ。「紅白の女神」が出演を辞退するほど、娘の死がショックだったのだろう。旦那の顔つきも引き攣っていて、あの表情は忘れられない。大切なものを毟り取られた時、人間はあんな顔をする。幾ら芸能人と言っても、魂が青ざめているのだ。こんなに人の死に同情を感じたことはない。

雨上がりで天気回復を兆す雲の群れも見えていたが、日が陰って来た
　寒くなり、大雪の予報が出ている。日曜月曜と日本海側を中心に雪の世界になりそうだ。サンタクロースの置き土産かも知れない。今年の残りもわずかになった。
　歳代わりの話し合いで、和子の関係のサークルで何かあったらしい。体調の関係でもう世話役は終わりにしなさいと言っておいたのだが、仲間のＫ氏といざこざが起こり、会を辞めて帰って来たと言って憤然としていた。彼女も短気な所があるが、体調も良くないし、そろそろ退め時ではないかと思っていた。コーラスグループもやっているし、動きを整理した方が良いのでは、と言っておいた。辞めることにした以上、余計な事は言わず、綺麗に身を引くべきだと進言しておいた。
　テレビで、「渋沢栄一」のラストひとつ前の放送を見た。明日で最終編になるようだ。当時の個人的思想性など詳しくは、知らないが、一国を繁栄させると言うことと、領土的に拡大することとは全く別だと思うのだが、移民の問題も絡んで、憎しみが生じていたようだ。伊藤博文暗殺事件なども絡んでくるらしい。日本人である僕が渋沢栄一の事が良く分からないと言うのも恥ずかしいが、お札に載った方、埼玉出身と言う事位しか知らなかった。日本の資本主義を、ヒューマンに導こうとした人と言うテーマのようだが、何故か僕の中には根をおろしていない人物だ。

今日も好天気　喪中でクリスマス・イーヴやお正月を迎える
　北海道の内山登志子さんに、小包のお礼を出したが、今回はメールが届かなかったようだ。前には、OKだったのだが、アドレスが変わったのだろうか。郵便での確認が必要になる。尤も彼女は「たそがれ」を読んでいるようだから、無事付いたことは、記事を読んでわかるとは思うが。
　今は、「たそがれの記」(109)の終わりで、新年を迎えようとしている。2022年元旦は、110号で迎えることになる。Ｎ兄は、手回し良く段取りを作るので、余裕をもって、新年が迎えられる。もっとも僕の家は、喪中になるので、お祭り気分は、遠慮しなければならない。考えてみると、内には仏壇が無いから、お線香をあげる場所も道具もない。つまりチーンする場所がないのだ。気軽に、花やお線香を上げる小空間が欲しい気がする。久が原には、おじいちゃん、おばあちゃんのご仏前がある。別に仏教徒という訳ではないが、仏に祈る気持ちは持ちたいし、それを表現する空間を身近においておきたい。ミニ仏壇と言うのは、存在するのか。幾ら位するものなのか。調べてみたい。
　ヒューマニズムと言うのは、民族など団体が持つものではなく、恐らく個人の心に存在するものであろう。それが大きく育つような集団に成長すれば、個はさらに成長する可能性がある。育てるものは、形だけの行事でもなければ、集団でもない。思いやる個の心の広がりではないだろうか。人間の生き方の魂が広がった世界が各自の心にフィードバックして、また個を成長させるエネルギーを、ヒューマニズムと呼べないだろうか。集団だけで燃え上がるのは、決してヒューマニズムとは言えない。超観念的な世界を散歩してみた。

今日も快晴　冬型高気圧で安泰か
　昨夜も、足の痒みに目が覚めた。夜中の12時前後の事だ。いつまで続くのだろう。薬を付けたら、治まって、その後はよく眠れた。これからは眠る前に薬を塗って寝ることにしよう。明日はクリスマスイーヴ。今年は喪中に当たるから、余り賑やかには出来ない。今日は、喪中のお報せを仕上げてしまいたい。和子にも、葉書の追加を頼んでおいた。
　今日は、プリンターが言う事を聞かず、喪中はがきを作成中なのだが、まだ一枚も出来上がっていない。よく考えてみると、まだまだプリンターの使用歴も浅く、扱いが呑み込めていないのだ。夜中に、床の中で、ああでもない、こうでもないと考えていたことを、今朝早朝に目覚めて実行したら、ズバリ的中。滑り込みだがセーフになりそうだ。やはり病後の記憶喪失的現象も大きく作用しているのだろう。お陰で、Ｎ兄に原稿も遅れず、メールを送らぬままになってしまった。明日は、滅多にない二日分の郵送となる。
　北海道の内山登志子さんから、郵便物が届いた。彼女が気を利かして、喪中の僕に、いつもの賀状の代わりに、来年のカレンダーとチョコを送ってくれたのだ。北海道の自然が満杯のカレンダーだった。九州に居る彼女の母親と、北海道の自宅の間を往復しては、親孝行を続ける彼女である。体の無理をせず、お花畑の記憶を組み立てては、楽しむそうだ。優しい彼女らしい気持が報告されていた。しみじみと昔の思い出が頭をよぎる。温かい気持ちに、ウルウルとする。みんな元気かな、と他の教え子たちの事も思いだしていた。

豪雪を噂に聞きながら、こちら入間市は連日快晴　青空の下ポリごみ捨てに
　石油をこぼして以来、右膝周辺と、左の足の甲が痒くなる。因果関係があるのかどうか分からないが、タイミングが一致しているので気味が悪い。それぞれ赤く炎症を起こしていて、痒くなるたびに赤く腫れあがる。もう少し様子を見よう。昨夜は、夜中に起きて、かゆみ止めを塗った。
　昨夜は、来年早々顔を出す「たそがれ」の前書きの草案を考えた。前回「生き延び」がテーマだったが、今回は皆さんのお陰で生延びることは出来たが、情勢は一向に明るくならない時点での世迷言になりそうだ。悪夢が何度でも呼び覚まされて、対立と戦争のイメージだけが拡大してくる。人間の世界は、所詮地獄なのか、の疑問が湧いてくる。しかし、と気を取り戻すが、一向に自信は湧いてこない。昨日か今日が冬至に当たる。夜が一番長くなる日で、日中の太陽の位置が一番低く、どっちを向いても眩しくて仕方がない。確か柚子湯に入る日だ。内では和子が友達に言われて、昨夜済ませた。「目鼻耳歯も無うなりて柚子湯かな」自分の句では好きな方だが、厭世的な匂いが、強い生き方を嘲笑っている。でもとにかく、昨夜、新年からの「たそがれ」前文の草案をまとめて、Ｎ兄に送った。おそらくこれが最後のご挨拶になるだろう。
　神田正輝と松田聖子の娘神田沙也加が亡くなった。公演先の北海道で宿泊先の建物から落ちて亡くなったと言う。両親の悲しみは大きくて言葉にはならない。どんな理由があったにしろ、今は沈黙が優先する。

快晴　良く晴天が続くが、段々と寒さが募る
　昨日は最後に、「この間予定していた買い物を忘れていたので、手伝ってくれる？」と和子に言われ、再びリュックを担いだ。あれだな、と僕はほくそ笑んだ。チビチビだけど、慰みに舐めている九州の麦焼酎の一番度数の低いやつを、更にお湯割りにして、薄めて小さいグラスに一杯だけ、時折飲んでいる。実にうまい。その容器が空になって居た。将棋のランクが一段上がった位にうれしい。女房のサービスのお礼に、和子の持ち物まで全部引き受けて、身軽にしてやり、「自分の買い物をごゆっくりどうぞ」と言って、独りでイオンを立ち去った。両手も塞げて、家まで買い物を全部運んだ。やはり歩みはゆっくりになった。しかし、こうゆう苦労は、実に楽しいのだ。
　終戦直後の満州の話には、戦争の中で歪み切った、人間の醜さが溢れている。耳を塞ぎたくなるような経験が、次から次へと語られる。子どもの頃から聞かされてきた「昔話」だ。老いて体が弱っているせいであろうか、敗戦で収容されてきた日本人民間人の集団が酷い目に遭った話が、若い頃よりも精神的に響いてくる。気分が悪くなる程だ。いろいろ戦争反対の行動をして来た僕だが、武器や原爆の発明だけでなく、それだけの悪の要素が、もともと人間にはあるのだと言う気持になって来る時もある。余程自覚的な宗教者の世界でなくては、平和は成り立たない、と言う気になってしまう。恐ろしい写真、文章、絵画なども、現に残されている。人間には守るべき価値が、果たしてあるのだろうか。懐疑的になって来る。しかし、ここで、ずるずるっと敗北主義にはなりたくない。こんなことでも考えて、今日は「たそがれ（110）の前文」でも練ることにしよう。

快晴　天気は良いが、底冷えは続く
　寒くなりそうな気候が来ても、また未練がましく後戻りするような天候が続いていたが、今日あたりは、底冷えが抜けない。厳冬と温暖化のはざまで地球も悩んでいるのだろう。しかし、所謂、温暖化現象は進行して行くのだろうか。地球で人間が住む条件は、次第に奪われて行くのだろうか。
　「カムカム　エヴリバディ」の安子ちゃんは、勇とロバートの板挟みになりそうな気配だ。余りぐずぐずしていれば、善良な男性二人が傷つくことになる。あれこれと気をもませるお芝居だ。アンコは、若者と中年の二人の男性を傷つけてしまいそうな状況にある。演出さん、先を急げ！野球青年よ、キリストの使徒のような外人さんよ、どうする？ 人生は、良くも悪くも、いつも気を持たせながら進んで行く。

快晴　この所関東は良く晴れている
　昨日の不祥事の打撃がまだ気持ちを乱している。現場の居間は、すっかり片づけたが、ストーヴを使う度におっかなびっくり近づいている自分に笑ってしまう。影響の割には、騒いだだけ昨夜はよく眠れた気がする。ホッとしたせいで疲れが出たのだろう。
　誰もが、新年を迎えるに当って、来年こそは、ああしよう、こうしようと、何か目的を持つものだが、こんな歳になると、望みも小さくなる。例えば、外した入れ歯を、洗って綺麗にしたら、容器に戻して外して寝るのではなく、口に戻して入れたまま寝よう、とか、掃除の回数をもう少し増やそう、とか、いたって情けない望みを真剣に考えたりする。実は真剣なのだ。外したまま寝ている所へ、災害が襲い、総入れ歯を容器に入れたままで避難すると、避難所で、碌な物を口に入れられないのではないか。なんせ総入れ歯なのだ。入れ歯を新調するには、お金もかかる。歯のないままでは栄養も取れず、話にならない。掃除の回数を増やしたとしても、お金はかからない。適度なリハビリの代用にもなる。夜中に眠れなくなった時など、こんなバカげた空想にふける。しかしこの歳をして、急に全く歯無しになってしまったら、緊急時にはどうしようもなくなる。組合役員には変な発想があって、災害で水道が壊れ、水洗トイレが使えなくなった時、特に大便の処理には困るだろう、などと考え、「燃えるゴミ」で処理できるオムツの様な処理方法を考え、緊急便器と言うのを組合と相談の上で業者に作成させ、現在公認されている。乾いたうんこの可燃物なのだ。既に修理の期間に必要な枚数は購入してトイレの傍に常設してある。今日は変な話になったかな。

快晴　北の地域には、積雪があった　富山の方では80センチ程降ったらしい
　今日は、不注意のために事件を起こしかかった。石油ストーヴの給油中に起きた事だ。石油タンクの給油メーターが故障していたのか給油しているのにメーターが全く動かない。「可笑しい」と言っているうちに、石油があふれ出してしまい、大騒ぎとなった。下には、ヒーター入りの絨毯が敷いてあるので、点火しないかと、大慌てになった。針が全く動かないので、手動の給油ポンプの具合が悪いのかと思って注油を続けていたが、そうではなく、ストーブ付属のタンクのメーターが鈍くなっていたらしい。やっと動き出した時には、もう溢れ出していた。手元に在った紙を手繰り寄せ、慌てて60センチ四方位を拭き取った。絨毯のヒーターもスイッチが入っていたが、特に異常は起こらなかった。ホッとするが、まだ何か起きそうで、暫くはボヤっとしていた。ここまでのミスは、生まれて初めてだから、ボヤでも出したくらいに驚いた。
　朝食も未だだったので、現場をそのままにして、置いてある調度もそのままに、隙間を利用して飯にした。油臭かったが、我慢して、早々と食事を終えた。火を出さずに済んだので、気が抜けたようにほっとしていた。燃料タンクを調べると、半リッター位は溢れた模様。絨毯のシミを見ているので、量を大げさに読み取っているかもしれない。とにかく火の気のある所で、油をこぼしたのだから、肝を冷やした。時あたかも、大阪の小ビルの火災報道を伝えたテレビが入っていた。不安があちこちに転がっている年末の失策で、本当に肝を冷やした。和子にも怖い思いをさせてしまった。
　その後、先日予定に入っていた特売日の買い出しを、今日に変更しておいた。米、味噌、牛乳パック、ビン類に入った水もの、重いものと、食料が主だ。和子までカートを引くことになった。彼女も最近では家事労働がかなりつらい状況になっているようだ。コメなどの入ったリュックもかなり重い。腰など傷められては大変だ。共倒れになる可能性が出て来る。もう背負って立つ元気は僕にはない。見栄を張って倒れたのでは、大変なのだ。お互い気を付けようと、注意し合った。
　Ｙ兄から、著作の進呈があった。本格的な出版物で、清文堂から直接郵送されたものだった。少し前に直接本人から紹介があったのを思い出した。『抄物の語彙と語法』という専門書だから、僕に完全な理解はとてもできないが、拾い読み位はしてみたい。Ｙ兄からお知らせがあったので、承知はしていた。健康に気を付けて、まだまだ活躍は十分可能だと思う。期待している。

快晴　暮の時間は矢のように過ぎ去って行く　冬型の寒さに向かいそうだ
　自分の不注意とは言え、昨日は気分の悪い日であった。今日は何かで気分を取り戻したい。突然消えることのないメモ・ノートの使用が出来ないものか。音を立てて暮が迫ってくる。昨日書いた記事で思いだしたのは、朝ドラの「アンコ屋さんの安子」が、木漏れ日の差す並木道で、浮かれ気分で、片足跳びをやっているのを、通りかかったGIの兵士が見て、つい真似をし始めて、ぴょんぴょん跳ね始めた。この兵士は、外国人で、「木漏れ日」という日本語の美しさに感動して、日本語の研究を始めたと言う。彼の妻も、安子の夫稔も、今回の戦争で命を失っていた。この二人の運命は、戦争の時代に遭遇した人間の不幸と生きる道の厳しさを代表していた。キラキラと輝いて零れる木漏れ日の光景は、一枚の悲しくも美しいキャンバスの絵であった。今、思いだしたので再現してみた。
　今、アンコのドラマは、さらに進展し、稔の弟、勇が駐留軍との野球の試合に勝利し、喜びの余り、今は亡き兄の未亡人であるアンコに結婚を申し込む。しかし、アンコとロバートの間にも深い友情が育ちつつあるのが気になる。絡み合って、アンコの運命は何処へ向かうのだろう？僕も毎時間聞いていた、懐かしいラジオ番組「カムカム　エヴリバディ」を軸に置いたドラマだけに、可愛い主人公が気になる。不幸にはなって欲しくない。
　オミクロンの患者が、日本でもぽつぽつと出始めた。これから今日明日と１万5000人ほどの帰国者が入る。暮も押し詰まって、帰郷者も増える。移動の流れも増えるだろう。流れ出す前に、足止めして検査をする必要があるが、全員ストップという訳にも行くまい。年末急増のイメージは、既に予測されていた。折角、抑え込みのコツがわかり始めた所で、強烈な反撃が起こるのを警戒したい。年末２週間が山になると思う。
　大阪の北ノ新地の小ビルで、火災が起きた。27人が火傷を負って心肺停止。うち５人の死亡が確定。放火の疑いもあり調査中。この所、年末になって、殺人事件、火災、性的犯罪など、不祥事件が目立つ。詐欺などの犯罪も抑え切れない。コロナの心理的影響も大きい。狂った潮流を定着させてはならない。

快晴
　また朝早くから記入した文章が、消失した。時間を空けて、続きを考えていると突然消えてしまう。10行以上あっても情け容赦もなく消失してしまう。不意に消えるから、この種の文章は、もう一度書く気にもならない。気分が悪くなってしまうのだ。その気持ちだけを書き残しておく。皆さん御免なさい。

快晴　気温も温和な予感がする
　「たそがれの記」109号の終わり、年末と新年が近づいた。「生き延びの記」と名付けて書いてきたこのコラムも、そろそろ改名の時期がやってきた。生き延びた後に何が残ったか。気付かなかった落とし物があったのを悟って、拾い集める「悟りの境地」が残されているだけだろう。いろいろ世話になったり、迷惑かけたり、同情したりしてやって来た、兄貴二人もこの世を去って、寂しくなった。恒ちゃんは、奥さんを連れて行ってしまった。上の兄貴とは、忘れられない思い出があるので、何故か気重だ。
　僕と妹が残された。学童疎開で苦労を共にした妹も、社会活動で、今まで大活躍をして来たが、大分疲れて来たようだ。あまり無理をせず、余命を楽しんで欲しい。旦那のKさんも大分お疲れのようだ。コロナのせいもあり、一緒に飲む機会もないのが残念だ。110号の前文の草稿を練るために時間をかけたい。
　午前中に、足りなくなったストーブ用の灯油を買いに、ガソリンスタンドまでカートを押して出かけた。今の僕の体には、一番不向きになってしまった仕事の一つだ。僕一人では心もとないので、和子が一緒に付き添った。カートを引く時の位置が悪いと、力が偏ってしまい強烈に重くなる。何とか大型のタンクに一杯だけ家まで運ぶのに、息が切れてしまう無様さだ。でも、これで数週間は、居間の暖房を維持できる。
　一時だけ、息は切れたが、胸が苦しくなっても、何度か息をつくと治まってくる。灯油を買うたびに、老化を自覚させられる。午後には、特売日なので、買い物をリュックで運ぶために和子と同行する。「これでも役に立つ」の自覚がなくなっては、人間駄目になる。どんなに小さくても、人間には踏ん張りと言うものが大切だ。生きている限り忘れてはならないことだ。
　和子は、緑会の座談会に出かけた。老人会の話し合いのグループが、また座談会を再生させたようだ。前には、僕も出ていたが、今の僕には聞こえなさすぎて、意見の交流にはならない。現在はどのサークルにも、出席していない。

快晴　気温が下がって来ているようだ
　昨日は「本格的な冬」と言う言葉が盛んに使われていた。「一けた台の気温」とも言って居た。冬の寒さがいよいよやって来たと言う意味だ。昨日は、外に出てみて冷たいと感じていたが、やはり寒くなっていたのだ。結局、リハビリのトライアゲインは止めて、延期してしまった。雨まで降って来て、延期は決定的になった。
　今朝は３時過ぎに目覚めて、眠れなくて、５時に起きてしまう。仕方なく、換気前に、出来ることは、やってしまう。ひとみさんの名残で体温計まで持ち出して、体温を測った。36度1分ある。コスモに通い始めた頃は35度台を抜け出られなかった。それがコスモをやめる頃、日中は36度5分になった。電子振動による治療をやめてしまった今でも36度台をキープしている。体温低下は、現代病だと言われ、現代の食べ物、薬、水のせいだと言われた。癌や内臓疾患などの原因になって居ると言う。この知識は、忘れられない。
　結局リハビリの再組み立ては、悪い天候とぶつかったため少し様子を見ることにする。ぽかっと、天候が良くなり、暖かい日が帰って来れば、再スタートを試みることにする。
　米中の関係が、「内政干渉」という意地の張り合いになってしまって、世界に今必要な事から離れてしまっている。冬のオリンピックで、中国の顔をつぶさないように配慮するか、経済的な衛星諸国の組織合戦まで、潰し合いになるのは考え物だ。今は個人的な恋愛沙汰に端を発していて、関係者にお偉方が居るから、疑いのかかる様な手立てを考えたり、憶測したりという子供じみた争いになって居る。これ以上デッカク縺れることをやめて、中国で行われるスポーツ行事を無事に終わらせたらどうなのか。当の女性も姿を見せて、テニスの試合は無事に勝ち進むやも知れず、当人もこれ以上の詮索を避けたがっているかもしれない。性格上、白黒つけるだけが正しいとは言えない問題なのではないか。それより全力を投入して、コロナとオミクロンの合体軍を、確実に防ぎ留めねばならないのではないか。主要敵を見失っているのではないだろうか。

快晴 空が昨日よりは澄んで、気温も和らいでいる
　昨日も急用がいくつも出て来て、リハビリはパーになった。今日こそ午前中に実現する。一旦始めれば当分は続くのが、いつもの事だ。これ以上、口先だけの行為が続くと、信用されない。病人の言葉など、誰も本気では受け取っていないだろうが、いつも、誰もが信用しないのが続いたら、悲しくなる。理由は、後からつけているような気になってしまう。
　Ｎ兄から、「たそがれ」の巻頭の辞を新しくしたら、という提案があった。もうかなり長いこと書き換えていない。年も変わることだし、いつまで「生き延びて」では、気が滅入る。何度も「そろそろ」と思ったことは有るし、何だか、自分の生き（粋に通ずるのか？）が悪くなったようにも感じている。歳が変われば、「たそがれ」ナンバーも変わるから、好機逸すべからず、準備に取りかかろう。
　大きなことを言って、11時頃リハビリのため家を出たが、数日、外に出ない生活をしていて、ひょいと外に出ると、結構外気は冷たく、慢性の蓄膿症状で鼻呼吸が全くできない僕は、直ぐに呼吸が苦しくなってきた。間もなくマスクは洟でびしょびしょになり、立ち止まり、何度もマスクを取って洟を拭うようになった。息が荒くなって来てしまった。「こりゃ駄目だ」と諦めて、コース半分で中止することにした。風のない日にする必要がありそうだ。気温も少し上がって、午後からにした方が良いだろう。自分の体がいつの間にか軟弱になって居るのに、愕然とした。自分で決めた基本コースが歩けない。いつの間にか、体が弱ってしまったのか。午後になって、条件が良くなったら、もう一度トライしてみるか、今日は中止して、明日以降に延期するか。どちらかにしよう。

快晴　南面に水蒸気群あり　地震あり　この辺でも震度３か４の揺れを感じた
　昨日は、結局、和子の帰宅は思っていたより遅く、リハビリには出られなかった。今日に賭ける。目標は、初めに決めた僕の基本コースに復帰すること。運よく昨夜の睡眠状態は良好。この分なら歩けそう。血圧も、低すぎず、高すぎず、の好調。鼻歌でも歌いながらのリハビリになりそうだ。
　田村君の「マヴィ」の広告ページが、偶然パソコンに出て来た。きっと頑張って好調の商いを続けているのだろう。どうしているかな。元気かな。お母さんも亡くなってしまい、寂しくなった。京都の大文字焼を見たことがあった。お母さんには大変お世話になった。今でも、戴いたゴヤの「裸のマッハ」複製が、我が家には飾ってある。田村君との再会は、もう所詮無理だろう。
　九州の方で地震が続いていたが、関東にもやや強い地震が来た。この地域でも震度３か４はあったと思っていたが、テレビでは４のグループには入って居なかった。津波の心配はありません、と言うことでホッとする。いつまでもテレビ画面がぶるぶる震えているのが気になった。アメリカでは、大きな竜巻の被害が問題になって居る。100名を超える被害者が出ていて、バイデン大統領も本気を入れて対策を講じるようだ。地震、竜巻、地盤沈下、津波、台風、火山の噴火、低気圧の性質の変化等、地球を取り巻く環境の異変に就いて、すべての研究と対策を、共同で進めるよう、共同研究の場を早く国連に設けるよう提案し続けているが、国家間のいざこざばかりが目立ち、プラン化も進まない。この現状が残念だ。

快晴　気温もさほど低くはない
　昨夜はよく眠れた。今日は、リハビリの正規コースを完歩できるかもしれない。天気も上々、あまり寒くもない。体調に伺いを立ててみる。前口上はこの位にしておく。
　和子は久し振りに新宿まで、買い物に出た。僕はのんびりと、３時頃まで留守番をする。最近の和子は、体力も落ちてきているし、注意力が散漫になって居るので、独りで行かせるのはやや不安になって来た。と言ってついて行けば、もっと重荷になる。無事に所要を済ませ早めに帰って欲しい。富山の女性だが、東京の生活は江戸っ子の僕より慣れて居ると言って良い位の人だから、何も心配いらなかったのだが、最近の挙動には、「あれっ」という不安を感じている。歳のせいかも知れない。十分注意するようにと言ってはある。最近の交通事故は、年寄りの危ない運転で、犠牲者が続発している。ドライバーも通行人も年寄りが多くなっているのだ。事故の加害者も、老人が圧倒的に多くなっている。被害者の方には、子供が加わる。交通事故と火災が、年末になって俄然増えだした。クリスマスとお正月の季節に、不幸な人が増えるのは、悲しい。
　和子の帰りが早めなら、リハビリに出ようかと思って居るのだが、、、さて、どうなることか。

曇り空が重く広がる　緩い日差しも出そう
　昨夜も２時頃目が覚め、眠れなくなった。コスモのひとみさんの会に参加していた頃、日常の不健康の指標として、この不眠の現象が重視されていた。皮膚の変化、排便状況、髪の毛の異常、鼻つまり、難聴、腰の痛みなどすべて血液の流れの異常としてとらえ、酸素補給、電子振動による内臓の機能正常化を毎日続けていた。薬はなるべく避けるようにした。４か月程続けたが、不眠状況からは見事に脱出できた。また元の悪い状態に戻りつつあるような気がする。懐かしい郷愁を感じている。
　何度もトライはしたけれども、中々自信が持てず、続かなかったが、団地外周コースをまた開始した。息が切れたり、鼻水に責められたりして、直ぐ弱気になってしまう。今日も真ん中コースを取り入れた妥協コースとなった。少しずつ元のコースに戻すつもりだが、直ぐに弱気コースに妥協してしまう。考えていないで、自信を持って歩いてしまえばこなせると思う。来週中には、基本コースに復帰したい。

濡れた道路脇に、楓だけが赤く映える朝　ごみ捨てに行くと雨はもう上がっていた
　昨日の反動か、今朝は明け方眠ってしまい、換気は20分も遅刻。慌てて着替える。換気の後始末をする。そして、朝の緑茶の準備も。これが、和子との一日のスタート。和子も朝食の支度に忙しいから、ヨーグルトと、お茶を、立ったままで、時間をかけて飲む。僕は和子がスイッチを入れてくれた「安子」のドラマを観る。音は僕には聞こえない。字幕だけで理解する。観ながら、寝起きの「水」をぐっと飲み、ゆっくりとお茶に手を伸ばす。僕の朝ドラ鑑賞だ。耳が聞こえないので、怒鳴られながらと言う時もある。
　昨夜、Ｙ兄から、著作出版のお知らせが来ていた。『抄物の語彙と語法』と言う著作だ。彼の研究の成果の一端だろう。素晴らしいものだ。Ｎ兄には「足尾銅山」の研究がある。皆、素晴らしい業績を上げている。嬉しくなる。
　九州に連なる幾つかの島々に、この１週間近く、震度１以上の地震が230回余も起きている。今日は震度５強の地震が記録されたようだ。何か大きな異変に繋がらなければ良いが。お正月も近付いているのに、不幸な人は出したくない。国会審議が始まっているが、地球の異常現象を予知する研究費なども増やして、科学者の様々な予知理論も進めて欲しい。平和憲法を変えて、自由に戦争を出来るようにしたい人たちもいるが、平和を守るのに必要なのは、武力だけではない。広島長崎の教訓を忘れてはならない。地獄になっても武器が欲しい人が増えつつあるようだ。

雨　日米戦争勃発（真珠湾奇襲の日）敗戦の８月15日と共に忘れられぬ日
　自分の全人生が戦争をバックに浮かび上がって来る想いがする。戦争に狩り出された兵士たちとは、違うけれど、少年時代なりの悲惨さがある。その一部が「蟲と少年」と言う作品にもなって居る。90歳近くなっても、消えない心の傷跡はいくらでもある。戦争が作り上げた自分は消えないどころか、その影を陰惨に濃くすることがある。どちらかと言えば、僕の中に深く刻まれているのは、終戦記念日の思い出だろう。何故か、集団的な涙の思い出となって残っている。悲しかったのか、嬉しかったのか、訳も分からず泣くしかなかった。お化けのような意味のとれない日本語で天皇の放送を聞いた後の集会場所で、畳をかきむしりながら泣いたのを覚えている。群馬妙義での悲しい思い出である。真珠湾攻撃の方は、戦争という不安に対する恐れとおののきと言うのか、誇り高い戦意もあったのかも知れない。当時は立派な軍国少年の仕上がり途上であった。
　昨夜は、時々現れる寝付き不良の寝不足に襲われた。こういう夜は、２時頃から５時頃までは、眠れていないので、極めて不機嫌な日になることが多い。起きてしまえば、動くことは出来るのだが、直ぐ疲れてしまう。今朝は、起きると直ぐに、激しい下痢を発症した。腹痛など全くなかったのに。

厚い雲が群れを成し、隙間から青空が覗くが、判定は曇り
　寝坊して、換気の時間が20分遅れ。しかし、よく眠れたので、頭がすっきりしている。和子の話では、徹の退院の確定は、昨夜のうちにわかっていたらしい。僕が聞き落したか。僕の耳のせいだろう。いずれにせよ、朗報だ。みんな元気で居てくれよ！
　アメリカと中国は、政治的メンツを張り合って、オリンピックの力を分裂させる動きを作っている。すべて政治的に行動を決めて行くと言う点では、両国は同じだ。今回の問題は、個人的な問題を、当事者の男女が共に公的な立場にあるために、国を代表する位置にあり、周りを取り巻く人たちが、公的、政治的な問題に拡げてしまった感じが強い。この事件で、オリンピックという貴重な人間的空間が傷つけられては、大きな損失になる。冷静に考えて欲しいものだ。経済的な連帯、政治的な連帯の前に、人間的な信頼感を大切にしたい。米中どちらも、世界をリードして行く国家が、メンツで張り合うことは、政治的にも損失だと思う。こんなことで、核戦争にでも発展したら、人間は、恐竜以下の馬鹿種族だったと言う地球文化史が残るだろう。強く成長している国家は、周りの発展途上にある国々の一層の発展を助けるべく、先導的役割を果たして貰いたいものだ。

重っ苦しい曇り　今にも降りだしそう　寒さは和らいでいる
　和子は、機嫌よく、元気に、コーラスの練習に出かけた。彼女の気分的な元気はなくならないようだ。仲間と会うのが楽しいのだろう。僕には良く分かる。それが生きていることのエネルギーになる。その為にも、コロナを蔓延させてはならない。旨い料理を作ること、人の喜ぶ声を聴くこと。さんざめく人間たちの生きる喜びに常に励まされて生きる。これが無くては人間は、世界を作り続けることが出来ない。どんな創造力でも同じだ。
　一人になって、体の疲れを休めようと、ストーブを付け、部屋を暖めて、仮眠をとった。昨夜は余り熟睡していない。コスモとの出会い以来、日常の、体の小さな現象を重視するようになった。日々の睡眠状態もその一つだ。
　憲子の電話で、徹は、そろそろ入院して１週間になるが、次の検査の結果によっては、明日にも退院できるとのこと。退院なら、周り中ほっとする。心からそうなることを願っている。

寒さは、やや厳しくなるも、快晴
　昨日は、和子の失せもの探しで、時間を無駄にしてしまった。結局、最後は自分で見つけてきた。でも無くし物が、見つかると言うことは気持ちの良い事だ。終わり良ければすべて良しとは、年寄りの失せもの探しの事だ。言い合いの途中で出ていた悪口雑言もどこへやらパッと消えてしまう。
　最近の、和子の忘れ物、失くしもの探しは目に余るものがある。やはり年のせいだろう。ひと頃は、僕がやり玉に挙がっていた。と言うことは、少し間を置けば、直るものなのか。残りの人生ずっとこれでは困る。物忘れも不気味だ。覚えていた知識や人の名前が飛んでしまう。立ち上がってこれからしようとしていたことも忘れることがある。怖くなって笑いだしてしまうくらいだ。所謂耄碌と言うやつなのかもしれない。
　Ｙ兄から、睡眠に対する相談が来たが、彼は夜書き物をしているから睡眠時間の調整はなかなか難しいのかも知れない。友人としては、仕事を励ましたいが、良い睡眠を確保することは、より重要な事だと思っている。

ごみ捨てに出たら、空は快晴　しかし台風21号が接近中とのこと
　最低気温は下がってぃるが、日中は、左程寒くない。温暖化のせいか？ これだけならともかく、土地が沈んでしまったり、大気の成分が変わってしまうのでは、一大事だ。地震の頻繁な胎動も気になる。生き続ける以上何とかしなければならない。
　世界では、現在使っているエネルギー源の石炭から、何を使うようにして行くのかが問題になって居る。国によって条件も違って来る。なかなか足踏みも揃え辛い。助け合いの歩調を合わせるのが困難なのだ。利己的に考えていては、目標を見逃してしまう。地球的な観点に立って考えることが重要だ。初めて試みる「地球統一戦線」だ。
　日本の衆議院の野党の共産党だけを、嘗ての路線が気になると言って、爪弾きにするようなケチな根性では、これからの地球路線を引っ張って行くことは出来ない。知恵を公募してそれが有効なら、どんどん取り上げて行くようでなければ、地球統一は実現しない。今までの対立はすべて休戦としよう。そして初めて足並みを揃えてみよう。

余り澄んではいないが快晴
　今日、憲子が来て、徹の状態を報告することになって居る。電話では、熱も下がって、落ち着いているとのこと。一先ずは安心だ。コロナが頭にあるから、ものすごく心配だった。病院の名前や場所は今日聞けると思う。別の病気で入院して、病院でコロナに罹る前例があるから、十分用心が必要だ。
　昨日は、早々と、Ｋ君からお歳暮が届いた。早速御礼を書くとすぐ返事が来た。懐かしい大泉高校時代が思いだされる。皆若かった。楽しかった。もう少し元気で居たかった。
　今回のはがき作成の作業中に、今までに作った卒業生関係の名簿２、３、４、５が消えてしまっているのに気づいた。親類関係の１と６だけが残っている。可能なような表示が出るので、復活させたいが、やり方が分からない。無理なのかもしれない。もう少し研究してみよう。
　ここで昨日取り上げた、中国問題が、俄然ここで取り上げられ始めた。関係者が素直になって、ごまかしではなく、人間を大切にすると言う立場から、解決策を考慮すべきだ。血なまぐさい体制的な締結方法ではなく、あくまで個人を大切にする方向で、解決へ導いて欲しい。色恋沙汰の解決を、力付くの権力の臭いなどさせずに、おつにさばいて欲しいものだ。

快晴　徹の入院は上手く運んだのだろうか
　徹の入院予定は、所沢の近くだそうだ。憲子のお母さん関係の病院らしい。細かな事は、今日あたり分るだろう。軽く収まれば良いが。だんだん疲れてくる年頃だ。早く元気になって欲しい。夫婦で、かばい合うことが大切だ。
　「筆自慢」が可成り傷んでいて、うちのお葬式２件の知らせを作るのに、四苦八苦だ。僕自身、使い方がうろ覚えになって居て、すごく時間もかかる。今の所何とか凌いでいるが、正月に賀状がたくさん来てしまうと「お知らせ」を出すのが大変だ。親戚関係だけでも一日かかった。ソフトの使い方を忘れてしまったのにもショックを受けている。
　気になることがいくつかある。一つは中国の女子テニスの選手の問題。男女問題で、オリンピックの中国大会が中止になりかかっていること。もう一つは台湾問題が、いつ武力にかかわる政治問題になるかわからないことだ。中国革命を最後まで終了したい中国の意図があって、戦争の意志を継続していること。それが政策問題と絡んで、世界が対立する2グループに分裂しそうな気配があること。もはや戦争は御免だと言う僕の主義主張が危うく揺らいでいるのだ。何故皆は「修正」を嫌うのだろう。意志堅固は良いとして、頑迷固陋は困りものだ。自信過剰にも危険性が付きまとう。変わることは決して悪い事ばかりではない。

雨　予想はされていたが、今日は荒れそうだ　と思ったら早めに晴れた
　昨日は、夜になって、イオンにいる和子からSOSの電話が入り、重くなり過ぎた買い物の運搬に駆り出された。リハビリが出来なかったので、いそいそと出かけた。家を空にするのは、気がかりなので、火の用心、泥棒用心を確かめてから飛び出して行った。スピードもいつもよりは早くなっている。こんな時でないと、無理に急ごうとはしなくなっている。現在を超えようとする意欲がもう無くなっているので、刺激にはなる。速足でと言うか、小走りと言うか、店の玄関先の待合わせの場所で落ち合う。自動化された支払機で勘定を済ませ、持って行ったリュックに詰め替え、背負って店舗を出る。昨日は、灯油運搬、買い物手伝いと、十分リハビリの代用にもなって居る。
　今日は、コースを歩こうと思っている。只、雨が止んだら、にする。青空が見え始めたので、多分実現するだろう。「喪中のはがき」作成が、当面やらねばならない仕事だ。もう12月に入ったので、いつ出しても良い。しかし、それが分かっていても、重宝なので大事に使って来た「筆自慢」と言うファイルが壊れてしまった。本文だけは使えそうだが、名簿から、宛名を書き出す大事な所が使えそうもない。宛名だけなら手書きでも、と言いたいところだが、今は手がガタガタと震えてしまい、字にならない。和子だっていろいろあって、何もかもでは手が回らない。
　そこへもってきて、憲子から電話が入り、徹が肺炎で入院すると言う知らせが来た。「コロナじゃ？」と僕が真っ先に聞いた。「ではない事ははっきりしている」と、答が返って来てホッとしたが、不安な感じがしている。和子が入院準備金を銀行に卸しに走った。返金があることも考えられるが、介護の仕事に追いかけられている彼の家の台所はいつも火の車だ。孫二人もいるが、まだまだ一人前になるのは大変だろう。頑張って欲しい。

快晴　気温は、やや和らいでいる　明日から師走に入る
　昨日、久し振りにリハビリをやったせいか、よく眠れた。今朝は、和子に起こされたのは、６時半を過ぎていた。慌てて換気に飛び起きた。やはりリハビリは継続するべきだと痛感する。
　昨夜は、少し飲んで直ぐ血圧を測ってみたら、172/84と出てびっくりしたが、脈は74とあまり変化はなかった。しかし、やっぱりアルコールは避けるべきなのだろう。今回のように、急に上昇して、血管が持たなければ、そのままアウトになるのかも知れない。飲んで直ぐ計ってみたことはなかった。病院で測る時と同じ位の数値になって居る。この分だと、病院で血圧を測ることにも赤信号がともることになる。大発見だ。そんな暢気な事を言って居て良いのか？ほんのささやかな楽しみも禁止した方が良いのか。悩むところだ。鉄のような血管が欲しいものだ。いや、ゴムのように柔軟な血管が欲しい。
　「灯油の蓄えが余りない。」と和子が言いだして、スタンドまで買いに行くことになった。リハビリに行こうと思っていたが、両方は体に無理なので、一先ず灯油を求めに出かけた。去年買い込んで来て、カートの使い方が良く解らずに使って、身体のあちこちが痛くなったのを思い出した。「またあの季節が来たのか」と苦い気持ちになり、兎に角何とか、大仕事を済ませ、リハビリは、省略することにした。カートの柄の傾け方が上手く行かず、肩や上腕に無理が行き、痛くなる。今シーズン３、４回は必要な仕事になるので、慎重にやることにした。リハビリの方は、割愛する。無事終了するが、極めて苦手な労働だ。
　オミクロンという新種の変種の調査が、世界的に始まっており、警戒度は極めて高い。今までのワクチン接種は、効き目がないとも予測されている。日本への入国も厳重に管理されそうだ。

晴、雲は多い　天候は変わり易そう
　昨日は、頭が少しおかしくなって、書いたことを忘れてしまい、繰り返し同じことを書いたり、出来もしないことを、やったことのように錯覚して書いてしまったりで、自分でもどうしたらよいか処置に困った。やっと我に返って、落ち着きを取り戻し、頭を整理した。落ち着いたら、気持ちも整理され、平常に戻った。家の中の片付けや掃除で疲れたせいだろうと思う。手書きの日めくりカレンダーも付け忘れて、27日でストップしていた。無理をせず、一日をゆったりと過ごすようにしよう。今日は、しばらく休んでいたリハビリ・ウオーキングに出てみよう。
　今日まで、電熱入りの絨毯で、寒さをしのいでいたが、寒くなって来たので、本格的な暖房を、戸棚から引っ張り出して、整備した。内はフューズの限界があるので、余り一度に多くの電力は使えない。未だに石油ストーブを利用している。水蒸気が部屋に不足すると、空気が乾いて、風邪を引きやすくなるので、スティームタイプの加湿器を併用している。一寸面倒だが、非常に快適だ。遅ればせながら、これで真冬の態勢も整った。どんと来い！である。
　朝思い立ったリハビリコースを歩いてきた。団地の東側の周辺道路に出て、団地の大外回りコースをたどる。林画伯のアトリエがあるポイントから、団地外に出て、バス道路を左に回り込んでいる、北の外周を回り、西面の外周道路へと左に回り込み、団地柵沿いに歩く。やがて出発点に到着。我が家に戻ってホッとする。あまり疲れずに歩けた。これならもっと距離を伸ばしても行けるのではないか。新コースを開拓できる可能性が出来た。焦らずに努力しよう。未だ棄てたものでは無さそうだ。洟は一度拭いただけで歩き続けた。予想したより楽だったので、明るい気分になった。

快晴　徐々に冬に向かうが、日中は過ごし良い
　また新しい変異種が、南アフリカで発生し、ヨーロッパなどでも発見され、警戒態勢が準備されている。これまでのワクチンが効かないようだと言う。各地で警戒態勢が準備されつつある。入国拒否や待機措置が考えられている。日本では、鎮静化の方向に動いてはいるが、一部に、クリスマス時期の再爆発を懸念する声もあり、厳重な注意を要する。
　丁度、ワクチンの３回目、４回目の接種の手続きを、12月初めから開始すると言う通知が来た。この実施を確実に実行するよう、当局の配慮を期待したい。年末年始の帰省や会合の増加などによって、感染再拡大の恐れは充分に有る。これまでの緊張を緩めず、抑え込みたいものだ。ここで気を許したら、それこそ「暮も正月も吹き飛んで」しまう。「引き締まって」行こう。

快晴
　５時前に目覚めて、眠れなくなった。こういう日は定期的にやって来る。大抵起きてしまうか、とりとめのない考え事を始める。いくら考えても結論は出ないし、出る訳もない。妄想のようなものだ。起きてしまって、具体的な生活に取り掛かった方が余程ましだ。しかし、３回に１回位は、あえて妄想に身を任せてしまう。今朝は起きてしまった。
　やはり朝ドラは楽しい。長谷川町子をテーマにした「マー姉ちゃん」の性格描写には感心するし、役者たちもなかなか達者だ。その後に続く「カムカム　エヴリバディー」は、戦時中の僕の小学生時代をそっくり盛り込んだ作品で、裕福な服屋さんの息子稔君と、上等なアンコを扱う小さな甘味屋さんの娘、安子さんの物語。つましいロマンスの結果、結婚にたどり着いた二人。稔君は、身ごもった安子を置いて出征。生まれた赤ちゃんは、安子にも内緒で巻物に書き残した命名書通り「るい」と名付けられた。前者の作品では、長谷川町子が、田川水泡の弟子だった事を、マンガ好きだった僕が知らなかったことが、何故か悔しかった。あけっぴろげなクリスチャンの母親が好演している。全体を通して、良く出来ている作品だ。「安子」の登場するドラマの恋も、平川唯一の「カムカム英語」でスタートする。僕が、英語の教師になったのも平川さんがきっかけだ。勉強がゲームのように楽しかった。戦争場面も同様で、何もかもが骨身に堪えていたので、すべて生活の辛さを記憶している。今は、ドラマが始まると、「お父さん、始まるよ。」と、和子が大声を上げて僕を呼ぶ。僕は、どこに居ても駆け付けなければならない。慌ただしい朝食準備をしながらの朝の風景なのだ。

快晴　深い青の抜ける様な、気持ち良い天空
　今日は、文字通りの快眠を得て、６時25分に目覚め、能率よく換気開始。昨日の一日が気持ち良く終わった後味の贈り物だろう。今朝は、Ｙ兄からもメールが届いて、Ｎ兄の言葉を後押ししてくれた。良き友達のお陰で、元気で居られると、感動している。今日も頑張ろう。
　WORDは、機能を取り戻したらしい。記述は、順調に進む。こんな時が一番楽しい。
　喪中の葉書が、既に６枚届いている。例年に比べ、非常に多い。我が家の喪中葉書はまだ出していない。日付を、12月にしてしまったので、未だ出せないでいる。出す準備を済ませてしまった和子は不満そうだ。この種の仕事に焦る必要はない。名残を惜しみながら、心を籠めて送り出そう。
　和子は、咽喉の診療で、沢田さんへ行っている。咽喉の専門医にもかかっているのだが、僕と同様、昔からの馴染で、通いやすい医者なのだ。並行してとまでは行かないが、時々アドバイスをして貰いに出かけて行く。もう大分長い病院通いなので、もう少し目鼻が見えて来ても良さそうなものだ。辛そうに洟を噛む音が、可哀相で仕方ない。これから本格的に寒くなるので、風邪に十分注意しないといけない。コロナは下火になって居るが、南アフリカなどでは、かなり悪質な変異株が流行ってきているという。警戒を要する。

　昨夜から悪夢を見ているように、WORD文書が書けなくなった。文字がでかくなってしまったり、いろんな操作が使えなくなったり絶望的だ。かなり時間がかかりそうなので、N兄には、その旨報告して猶予をお願いしてある。難しそうだが、何とかトライしてみる。やっと書けるようになったようだ。これをメールに移して送ってみる。偶然でも良いから、良い方向にたどり着きたい。
　昨日の記述について、Ｎ兄から次のようなメールが送られて来た。

昨日の日記の中で問題にされている件についてひとこと。
　家で測る血圧より、病院で医師が測る血圧の方が高くなる現象は、特異なことではありません。家では、リラックスした状態で測るのに対し、病院で医師が測る時は、どうしても緊張状態になるので、数値が高くなります。「白衣高血圧」という呼び名があるほどです。血圧計の故障などではありません。次をご参照ください。白衣高血圧と仮面高血圧

　このメールへの僕の返信はつぎの通り。
　「それで医者の不可解な態度も分かって来ました。とても貴重な説明がされていて、安心と、嬉しさで、いっぱいになりました。何度も読み返しました。今後、血圧の記録を継続して、変化に気を付けることが重要だと、感じています。医者の方も今後の経過状況を観ないと何とも言えないのだと言う気になりました。すっかり不安な気持ちが解けました。勿論、油断はできませんが、分かっている不安は恐れることは有りません。有り難うございました。健三。」

狭山中央での定期検診　いつものように慌ただしく準備して出掛ける
　今日は僕らの結婚記念日。そう言ってもピンと来ないほど、日時が経っている。僕が30歳の時の事だから、もう58年以上昔のことになる。
　今日はまた、僕が脳梗塞で倒れて、入院し、退院してから、２か月ごとに通院している、狭山中央病院の定期検診の日だ。今日もとくに変わったことはない。ただ、血圧の測定値が、自宅で測る時と、病院で測るのとでは、数値に大きな開きが出来る。何故だか説明もない。今まで耳にした医師の言葉は、「そういうことはありうる」「計器が故障しているのではないか」という質問にも、同じような答えしか返って来ない。「つんぼに何を言っても仕方ない」というような答えに聞こえる。和子の方にも、それ以上の答えは返って来ない。状況理解が出来ている訳ではないので、質問も出来ないでいる。また今日も進展なく帰って来る羽目になった。２か月が検診の間隔だが、正月が入るので、「次は、正月が挟まるから、３か月間を取りましょう。３月の初めの水曜日にしましょう」と言われた。降圧剤を飲まずにいる、というと不満そうなのだ。今日も飲んでくださいと言われたようだ。僕の症状は、血圧を測って異常な高さが出なければ、他に手当てはないと言う症状なのだろう。病院で測ると、上が150を超え、自宅で測ると120がやっと。下は、病院が、80を超え、自宅では、40台前後、時には50を超える位だ。この差をどう理解すべきなのだろう。
　帰りに「夢庵」で昼飯を食べたので、ヤケ半分で、ほんの少しだが、飲んでしまった。実に旨い。こんなにうまく酒が飲めると言うのは、悪い事ではないのだろう。

勤労感謝の日　鬱陶しい曇り空　天気はどうなって行くのか
　５時ごろ目を覚まし、そのまま起きてしまう。眠くもないし、眠れそうにもなかった。簡単な朝の準備を済ませてしまい、一日が始まった。
　明日は、狭山中央病院へ定期検診に行く日だ。愚痴はいろいろ言っても、やはり、頼りにしてしまう。貰う薬も大切だし、いざとなれば、担ぎ込んで貰うしかない場所なのだ。直接地獄へは駆け込めない。定期健診まで薬がもたないので、血液サラサラの薬を、一日だけ省いて使用した。気になって、血圧変化を調べてみたが、特に異常は見られなかった。やや高めに出ているが、心配するほどではない。これで明日の補充にゆっくりと間に合うことになる。途中で使うことになった降圧剤は、その後の使用をやめたので、かなり無駄になったようだ。降圧剤の使用はなるべく避けることにしている。自然体調で、血圧の調整をしたいので、薬による低下は、なるべく避けたいと考えている。
　明後日の24日は僕たちの結婚記念日にあたる。88歳と83歳になる。ずいぶん遠くまで歩いて来たものだ。僕があと何年モツか。結果的には、既に和子に大分苦労を掛けてしまった。反省している。元気なら、なるべく長く生きたいが、手がかかるような状態なら、余り生きていたくはない。生き甲斐次第だと思っている。

曇り、天気悪化の予報　寒くなるかもしれない
　明け方に眠れなくなったが、換気終了時にトロトロと眠った。遅ればせながら、気候は本格的な冬に向かいそうだ。我が家の居間の温度が、暖房も何も入れず、暖房絨毯だけで、15度前後になって居る。太ももにひやりとすること位で、あまり寒いとは思わない。未だ新設したばかりの暖房は一度も使っていない。本格的な寒気が本州を取り囲まないので、過ごしやすくなっている。温暖化の都合良い所（本質的には大気の構造破壊なのだ）だが、寝室のダブルベッドは夜中は冷えて来ていて、小さな子供用の湯たんぽを入れている。本格的に冷えてくれば、老人には耐え難くなるはずだ。もうかれこれその時期になって来る筈だ。昔、孫たちが使っていた用具が役に立っている。
　中国で、スキャンダルが、問題になって居る。旧政府のお偉方と、優秀なオリンピックの女子テニス選手とのスキャンダルが発覚し、選手の行方が不明という情報が広まっている。冬季オリンピックを控えている中国としては、面倒な問題で、事態の収拾が注目されている。政治がらみのスキャンダルが、奇妙な問題にならなければ良いが。

曇り、今夜から天候悪化の予報あり
　昨夜、Ｙ兄からメールがあった。相撲の事で書いた僕の「たそがれ」の一部の記事に対して、「高尾山」は途中下山だったとか、出会った老人が疲れ切っているのを見て、わが身を思う様な気弱なことが書いてあった。万歩計が、7500歩を超える距離を示していたと言うのだから、途中であっても悲観することはない。第一、山道を自分の足で歩いて、生の、赤い紅葉を見てきたのだから、羨ましい限りだ。季節ズバリの山の中で呼吸できること自体が羨ましい。その感触を、僕はもう終えてしまっている。精々テレビで、眺めて、昔の思い出に浸っている。昔の句歌集から、老いをうたった句歌を拾ってみる。

　　　元気な頃の挫折感を詠んだもの
一筋の径そこで尽きナナカマド
　　　奥へと誘う赤のいや増す（2004年９月）

　　　2001年になって、
樹齢積む花懐に老いの群れ（４月の花見）

　　　2012年に
木枯らしの口笛走る森に入る（11月の登山口近くで）

　山では、余り老いを歌っていないようだ。矢張り、辛くてそんなゆとりが無かったのだろう。

　　　2019年に
透明なせせらぎを切り鯉の群れ（５月お節句に、登山口近くで）

あまり良いものはない。

朝、快晴　北では、月曜から雪になり、気温が下がるとの予報あり
　昨夜はよく眠れた。換気時間前にピタリと目覚める。気分爽快。熟眠は、やはり素晴らしい。空には薄い水蒸気があるのか、青空の色が全面白っぽく鈍く曇っている。予報では、明日辺りから、気温が下がり、北海道は雪になるとの予報が出ている。遅い冬が、やっと到達か。体が弱っているから、風邪には注意しよう。
　グリーンヒルのカラオケ会も少しずつコロナを克服して、活動を再開し始めたようだ。和子は、その集まりに加わるため「ポピー」に出向いた。彼女の咽喉がまだ回復していないので、それが心配だ。未だ片付け切らない奥の一間を懸命に片づけているようだ。徹が一緒に住んでいた頃使っていた部屋だ。綺麗にするには、まだまだかかりそうだ。僕が手伝えるうちに目途をつけて欲しいと思っている。
　テレビでは、現在九州場所を中継しているのだが、今回はあまり見ていない。強いのは強いが評判の悪くなった「白鵬」が引退し、横綱は、照ノ富士一人で頑張っている。大関の正代も強くならないし、押しと突きの貴景勝は今の所連勝しているが、いつ鉄砲が効かなくなるかびくびくしている。数日は見たが、後が続かなくなって来ている。忘れて寝てしまったこともある。山田さんは、照の応援を続けているのだろうと気にしたりしている。でも、奥さんと高尾山の紅葉を見て来たらしいから、関心が多少薄れたのかなと、余計な心配もしている。

晴、雲少し残る　気温にピリッとした所が出て来た
　昨夕も、和子と買い物に出た。リックも持ったが、重いものはほとんどなかった。でもリハビリウオークの延長だと思って、楽しんで歩いた。家の中の仕事でこまめに歩くのも、リハビリの一つだと思っている。もともとじっとしているのは好きではない。スポーツは得手ではないが、体を動かすのは好きな方だ。動いていると頭の方もすっきりしてくる。
　武器の戦闘能力比較などということは最近考えたこともなかったが、実際には、今なお各国が真剣に研究しているらしい。戦闘機のスピード（もちろん音速）とステルス性能（忍者的能力）の進歩？ は物凄いものがあるようだ。気付かれずに、近づいて相手を破壊するためだ。災害に対する予防の研究、地球の果たしている機能の低下を防ぐ能力の研究、病気に対する対策、都市構造の安全性などに比べれば、人殺しの技術がどのように進展して来ているか、驚くべきものがある。持っている英知の偉大さでもあるが、その残虐性を無視して推し進める非人間的なものへの無自覚性に目を見張る。自由主義がそれを許すのならば、専制君主の国家も同じではないか。いずれにしろ、人間も、滅亡して行く地上の「種」と同じ道を辿るのか。まるで自分が見えていない。
　最近は、昔の顔なじみや、教え子たちからの便りが、めっきり少なくなった。コロナの影響などで、自分を縮めてしまう習性が、僕にもついてしまった。それと、歳をとると、誰もが構えて、打ち解けにくくなる。自分の人生を人にも語りにくくなる。聞き苦しい話も多くなるからかもしれない。しかし、老人たちも笑いながら、滑稽な自分の人生を語り合うべきだと思う。大いに話しましょう。

雲も多いが、一応晴　陽射しもかなりある
　朝起きると、右の鼻から、また出血していることに気づく。昨日より、量は少なく、既に止まっている。注射が刺激になったのかも知れない。ガーゼの汚れが恨めしい。用心して体を余り動かさずに過ごした。大丈夫だと思う。その後、明けの５時ごろからもう一度眠りに就き、換気時間を迎えた。注射痕は異常なし。痛みも全く消えた。
　今までの「たそがれ」の、WORKのメモ帳は６、７通保存してあったのだが、全部、一覧から消去した。今は「本命の健三3」というのだけ残っている。これで十分だ。何か起これば、数字を変えて行けば良い。つまり、文書名を変えて使って行けばよい。本番の記録は、しっかり残されている。
　記憶力が衰え、書類やメモ類、それに大切な郵便物などの整理が難しくなり、年中探し物に明け暮れている。和子は、自分の持ち物をどこへ置いたかが分からなくなり、始終探し物にうろうろしている。助け合っている探し物のつもりが、いつの間にか、攻め合いや嘆きごっこになっている。やはり歳は取りたくないものだ。

薄曇り　はっきりしない空模様　沢田さんでインフルエンザ予防接種
　昨夜は、注射のために風呂に入っておいた。何とか沢田医院まで歩いて行く。八柱霊園ほどはないと思う。焦らずに歩こう。注射は、この歳になっても嫌いだ。注射が好きという人は居ないのかも知れないが・・・。
　遠距離会議などを見ていると、アメリカと中国が、協力できそうな雰囲気が出て来たが、本物だろうか。中国の習体制の冷静な分析が必要だと思う。他国の迷惑を考えない、自国の革命継続論は、無茶過ぎるのではないか。兎に角、戦争を起こすことに無神経な政策には、ついて行けない。僕の人生の結論は譲れないのだ。地球と人類防衛こそが、すべての協力のカナメになるべきだ。アメリカ・中国の協力体制を政治的欺瞞ではなく信頼できる協力関係にして欲しい。
　午後になって、良く晴れた。沢田さんで、インフルエンザの予防注射をして貰う。彼も僕と同様随分老けた。懐かしい位いろいろ世話になった。触診を受けながら、「今の病院では、こういう診察を受けたことありませんよ」といったら、「今の若い先生はそんなもんだよ」と、おっしゃる。患者への愛着が、あまり感じられないのもそんな所から来るのかもしれない。難しい名前の機械はいろいろあるが、それで撮った写真ばっかり眺めている。書き続けている血圧のグラフを一緒に眺めたことすらない。注射を済ませ、喘息の新しい薬を貰って帰る。和子にすっかり面倒見て貰った。耳が聞こえないのがこんな時いつも痛手になる。兎に角、僕にとっては、沢田医師は懐かしい先生だ。一寝入りした時に、右の鼻から出血があったようだが、既に止まっていた。今日はあまり動かないようにする。

曇り　雲間から青空も覗くが、黒ずんだ雲多く、好天は？
　13日に、新八柱で歩き、14日の夜、持病の喘息発作が起き、昨日、リハビリ=ボッカに成功。その後、スキヤキの味付け手順を、すとんと忘れ、改めて、大きな不安が僕の体にのしかかっているのを痛感する。手元に据えられた醤油，水、砂糖、調味料、酒などを、どういう順序に、どの程度の量入れたらいいのか、まるで分らなくなっているのだ。前は、スキヤキとなれば、鍋奉行を志願して出たものだが。
　喘息発作の薬は、吸入方式と、塗り薬があったのを、後になって思いだした。塗った胸部から、薬品の蒸気がたって呼吸器に送り込まれると言う方式のものだ。最初の吸入式だけで咳が止まり、すっかり収まってから塗り薬があったのを思い出した。全部緊急性が役に立たなくなっていた。何とか記憶の保持のトレーニングが出来ないものか。
　今日は、体に特に異常は感じないので、ヨークマートにも付き合った。重い調味料やミルク、水ものなどを運ぶのが、僕の任務だ。山で背負いつけていたためか、左程辛くはない。和子だけに持たせるのは、見ていて辛いものがある。カートを使っても、路悪や、駐車場を横切るなど、辛いコースも出て来る。重い商品を、運ぶのは、痛い肩などに辛い様だ。と言って、何度にも分けるのも大変なことだ。半病人とは言え、ボッカに慣れている亭主は利用するべきだ。しかし、荷物の量には神経を使っているようだ。僕のリュックから少しでも荷を減らせと、鬼のような顔をする。リハビリとボッカが兼用でやれるなんて最高の両天秤だ。不安と意欲が錯綜した毎日だ。

快晴 この所、気温も快適　寒くなるのはこれからだ
　正式の「たそがれ」に、恒ちゃん松ちゃん夫妻の写真が載った。Ｎ兄にお願いして、追加で載せて頂いた。僕も一緒に居る。少しボケた写真だけど、皆天下一品の笑顔だ。これで、今回の弔事は一段落ということにしたい。お二人に、いろいろとありがとうを言いたい。これからは独りで頑張って行くよ。悲しみよ、さようなら、だ。
　残っているのは、多喜子と僕だけで、後は、それぞれの子供たちとバトンタッチだ。その後は、見ている訳には行かない。古マンションの一戸分以外財産は残せなかったけど、人間の意地だけは引き継げたつもりだ。それぞれの持ち味で頑張って欲しい。この期間、子供たちとも話し合うことが出来たが、皆頼もしく育っている。それぞれの持ち味を生かして助け合って行って欲しい。
　人間の世界も動いている。地球の変動と共に生き難くなって行きそうだ。大気汚染と質的変化で大騒ぎしているが、中々意見の一致が難しい。権力者の入れ替わりも起きている。それぞれの思想や宗教のずれもそのままだ。だからぶつかり合いは相変らず必然で、戦争もなくならないし、武器が残虐になるだけ、一旦始まると、女性や子供には、悲惨なことになる。男たちは、戦場に駆り出され、殺し合いを強いられる。悲劇が無数に生み出される。その中で、自分の哲学で生き抜く以外道はない。世界各国が、話し合い、共同体制が組めるようになれば、悲劇は多少減少するだろう。それだけがこれから追及するべき大問題になるだろう。これに失敗すれば、人間も地球ごと絶滅種となって行く以外手はない。人間「種」の最後のページをどう描くか、最後に生きている人間たちの行動で決まってくる。

晴れ
　弔事が終り、ほっとしたが、毎日は、同じように過ぎて行く。換気時間が30分ズレ、６時半から生活開始の生活リズムを守っている。昨日の偶然の徒歩の機会を利用して、今日から毎日、リハビリの上乗せをしようと思っている。また、原則に戻り、暫くの間、基本コースで、毎日続けよう。
　昨日の記事を読み返して、肝心の亡きお二人のイメージが薄すぎたと思い、少し古い写真だが、写真だけ送り、Ｎ兄に後から挿入を依頼した。元気な頃、八柱霊園で撮ったものだ。
　今日は非常時訓練として、朝の９時から、人員点呼の模擬演習を行った。当番の理事が、各戸の報告状況を集計して、事務所に報告することになっている。各戸はマグネット付きの表示板を玄関扉の表面に貼り、報告する。お向いさんも貼ってあった。本番だったら大騒ぎだろう。しかし、老人や病人の多いこの団地は、大変だと思う。緊急避難には大騒ぎになるだろう。我が家も足を引っ張る側になる。
　今日、Ｎ兄に、昨日の「たそがれ」の記録を、朝のうちに送稿し、後から気付いて写真も加えた。これから今日の分を送ることになってしまったが、三度も手数をかけたことになる。本当に申し訳ない。お詫び致します。

空に水蒸気を感じるが快晴　今日は松ちゃんの納骨で、八柱へ　写真は、その昔、八柱霊園で撮った、今は亡きお二人と僕（左端）
　行動は全て予定通り進行して、無事にしげりちゃんとの待ち合わせに間に合う。元気そうだ。今回は学習するつもりで、駅の名前などに注意しながら、列車に揺られていた。新八柱駅でバスを待ったが、なかなか来ない。誰言うともなく「歩こうか」となった。皆僕の顔を見て心配そうに「大丈夫？」と聞いたが、元「山男」にも意地がある。だが、最近歩いたことのある距離ではない。リハビリの基本コースを超える道のりだろう。しかし、結果は「？」が付くが、フラフラになりながらも、なんとか石屋の近藤さんにたどり着いた。皆さんの顔を見てホッとした。この間と同じ様に、二階に上がって仏様にお経を上げる。松ちゃんの写真は、綺麗で知的。思わず手を振りたくなる。終了すると、車に乗って、お墓へ。納骨の儀式だ。恒ちゃんの時と同様だ。ただ違うのは、やぶ蚊の大群に襲われたことだ。大騒ぎしながら、写真を撮った。季節が移って、太陽の位置が低くなっている。それが物凄く眩しい。目を開けていられないほど眩しい。電車の中でもそうだった。帰りも駅名を学習しながら、新秋津駅に着き、乗り換える。前回は駅名も碌に頭に入らなかった。多少はゆとりが出来たのだろう。前には、この路線を使っていなかった。新駅ができ、池袋に出ずに、秋津から歩いて新秋津へ出、そのまま新八柱へ直通できるようになった。気持ちに余裕がなくて、前回は、新ルートなど学習できなかった。こうして、今回の慌ただしい弔事が終った。信成さん一家も大変だったろう。
　さぞかし悦たちは疲れた事と思う。ゆっくりお休み下さい。「たそがれ」には、翌日送稿となった。

快晴　気分よし　頑張れそう。
　今朝は、僕のファイルの編集手順の改良が提案されたので、応じてみた。使い勝手が凄くよくなった。連絡に応じたかたちだが、有料でないことを願っている。
　明日は、松ちゃんの納骨式がある。やはり出掛けてみることにした。悦ちゃんにも、連絡済みだ。和子が、僕の髪の状態を心配して、お化けみたいだから、少し切ろうと言っている。彼女は、自分も切って貰いたいのだろう。今日は、僕は体調を整えておくことにしたい。恒ちゃん、明日は松ちゃんに「ご苦労さんでした」と言って来るよ。恒ちゃんの代わりのつもりだ。
　湊かなえが、ＮＨＫの「あさイチ」に出て来た。雄弁で、元気な女性だ。サイン会を自分で演出する位にマメな作家でもあるらしい。山にも登ると言う。自ら各地方へ出向いてのサイン会も大変だろう。サービス精神旺盛な作家だ。現代に向いている。僕も若い頃の、２、３の作品を読んだが、中々の出来だった。その後あまり読んでいない。初め、ミステリー作家の新人かと思っていた。もう少し奥行きがありそうだ。中々の多作で、もうすでにかなりの著作を作り上げている。この人もでかい女性になりそうだ。まだ若いし、作品もまだまだ期待できる。僕があの世に行く前に、もう数冊は読んでみたい。
　やはり、明日の納骨式参加のために、髪を何とかしよう、ということになり、午前中かかって、僕の髪を和子が整髪した。彼女は髪を扱うのが上手いので、切った髪が、くっ付いて白髪だらけになったシャツも何とか綺麗にして、午前中に終わった。さて午後は僕が彼女の髪を弄る番だ。これが問題だ。本職の所に行けと言っても、彼女は行かない。どうしても僕に頼る。病状悪化を心配しながらハサミを握ることになりそうだ。一応みられるようにすればいいのだと言う。それが難しいのだが、お願いしますと言われる。始めてしまえば、嫌でも最後まで仕上げなければならない。普通で良いのだと彼女は言う。しかしその普通が難しいのだ。今まで何度かは、パスしたからと言って、今度もＯＫとは限らない。終わるとぐったりするのだ。間もなく開始の時間となる。
　和子の方から、理髪取り止めの提案があり、ほっとする。明日の行事に障るほどの不調がない事を考えたようだ。僕の方はホッとした。これ以上の重圧は避けたい。明日は予定通り出掛けられそうだ。