生き延びの記

　2018年6月に脳梗塞で倒れてから、ほぼ３年が過ぎ、４年目に入ろうとしている。「生残り戦線」に復帰して、「病人人生」から「半人前人生」に移ろうとしている。“目鼻耳　歯も無うなりて柚子湯かな　健三” の状態で、遮二無二生きようとしている。今は、大勢の人の手を借りて、少しでも人らしく生きようと懸命になって居る。正しい文章を思いつくのも難しくなって来た。
　最大の戦友であるカミさんも82歳になり、体の故障も出がちである。いろいろ無理を言うのも気が引けるこの頃だ。生きて、現実を考え、ものを言い、夢を描いて死んで行きたい。2021年6月には、88歳、米寿になる。わずかな「人間への期待」を持ちながら、生き延びられるだけ生きてみよう、と思っている。
　一方で有能だった教え子たちからも、訃報が届くこの頃である。親族の訃報ならともかく、本人が亡くなったとの知らせもある。運命は歳の順を守らない。死は至る所に牙をむいている。逃げようのない死が追いかけて来る、戦争だけは御免だ。
　パソコンで、WORDを使って懸命に文章を書き、その記録をＮ兄に送り《たそがれの記》に回してもらう。しっかりと掲載されたのを自分の目で確認してから、パソコンの電源を落とす。いろんな方から寄せられる便りをご馳走にして、生き延びている。どうか皆さん、健康に気を付けて、良いお年を！

2020年歳末

高橋　健三
okengtac@outlook.com

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